認知症の中でも特に多いアルツハイマー型認知症に、アロマテラピーが有用であることをご存知でしょうか。アルツハイマー型認知症は、初期症状として物忘れより前ににおいが分かりにくくなるという特徴があります。
五感の中で1番最初に衰えるのが嗅覚ですが、嗅神経は再生力が高いとされています。
決まった精油の香りを朝と夜に嗅ぐことで嗅覚が刺激され、物忘れや不眠などの改善が期待できることから、高齢者施設や介護の現場でも取り入れられているんです。
今回は、高齢者に効果的なアロマテラピーとして、認知機能改善に役立つ精油やその使い方についてご紹介していきます。
▷ アロマテラピーで認知機能の改善がみられた研究結果
▷ 高齢者におすすめのアロマケア
▷ 使うのは「アロマオイル」ではなく「精油(エッセンシャルオイル)」
▷ まとめ
▷ 今回ご紹介した精油
アロマテラピーで認知機能の改善がみられた研究結果
認知症の中でもアルツハイマー型認知症は、初期症状として物忘れより前ににおいが分かりにくくなるという特徴があります。
においを感じる領域は、脳の海馬(かいば)というところにありますが、ここには記憶や、「自分が誰で今どこにいるのか」といった見当識(けんとうしき)に関わる情報も蓄積されています。
海馬はほかの神経より再生能力が高いので、においの情報を直接受け取り、海馬を刺激し活性化させることで認知症の予防・改善につながると考えられているんです。
実際、高度アルツハイマー病例を含む高齢者を対象とした実験では、朝と夜に特定の精油をディフューザーで散布したところ、手指名称記憶の点数で有意な改善が見られたという研究データがあります。
(参照;認知症に対するアロマテラピーの有用性)
また、鳥取大学の研究では軽度〜中等度のアルツハイマー病患者に28日間アロマテラピーを実施したところ、自己に関する見当識の有意な改善が見られたという研究データもあります。
(参照;アルツハイマー病患者に対するアロマセラピーの有用性)
(出典:鳥取大学発ベンチャー 株式会社ハイパーブレイン)
これらの結果から、認知症の中でも特に多いアルツハイマー型認知症に、アロマテラピーの有用性が確認されました。
決まった精油の香りを朝と夜に嗅ぐことで嗅覚が刺激され、物忘れや不眠などの改善が期待できます。
香りと脳の関係について興味がある方へ...↓↓
高齢者におすすめのアロマケア
認知症患者を含む高齢者へのアロマテラピーで使用された精油が、ローズマリー・カンファー、レモン、ラベンダー、オレンジ・スイートです。これらの精油の特徴と、おすすめの使い方をご紹介していきます。
認知機能の改善が期待できる精油
ローズマリー・カンファー
ローズマリー・カンファー精油は、しみ通るようなスキッとした香りで、勉強や仕事で集中したいときや、眠気を覚ましたいときに役立ちます。鎮痛作用もあるので肩や腰などがつらいときにキャリアオイルやクリームに混ぜて使っても◎。
レモン
ラベンダー
オレンジ・スイート
オレンジ・スイート精油は、果物のオレンジのような甘く爽やかな香り。気持ちを明るくするのと同時にリラックス効果もあり、心地よい眠りへと誘ってくれます。ほかに、血行促進・発汗作用があり、アロマトリートメントやフットバス(足浴)に使うとむくみ改善も期待できます。
おすすめの使い方
ディフューザーを使った芳香浴
アロマディフューザーで散布する場合は、ローズマリー・カンファー4滴+レモン2滴を朝(9~11時)に、ラベンダー4滴とオレンジ・スイート2滴を夜(19時半~21時半)に行います。
精油を1本ずつ揃えて滴数を調整するより、あらかじめ朝用・夜用にブレンドされたオイルを使うほうが簡単でコスパも良いですよ。
たとえば、インセントのアロマペンダントセットは、昼用・夜用のブレンドエッセンシャルオイルがそれぞれ1本ずつと、アロマペンダントがセットになっていて、届いてすぐ試せます。
昼用はローズマリー・カンファーとレモンが2:1の割合で、夜用はラベンダーとオレンジが2:1の割合でブレンドされています。日中は昼用オイルをアロマペンダントにしみ込ませて芳香浴、夜は夜用オイルをディフューザーで香らせるなど、使い方も自由です。
アロマディフューザーやアロマペンダントがない場合は、アロマシール(無香料タイプ)で代用できます。アロマシールを使う場合は、精油をシールに2〜3滴たらして、服の襟元かマスク、枕カバーなどに貼って香りを楽しみます。 夏の芳香浴にも最適!マスクにも、携帯ミニ扇風機にも、衣類にも、ピタッとくっついてはがれない『アロマシール』の使い方、活用例をご紹介します。 火も電気も使わないので、誰でも簡単にアロマの香りを取り ...
アロマシールの使い方、活用例〜マスク、扇風機、衣類にピタッと貼れる
芳香器具等はいらないという方は、ティッシュやハンカチに同じように精油をたらして使ってもOKです。 嗅覚トレーニングは、嗅覚の低下を予防したいという方や、嗅覚の低下を感じている方におすすめのトレーニング法です。 「嗅覚」は人が香りを感知するために重要な感覚ですが、年齢とともに衰えたり、慢性の鼻詰まり ...
においを感じにくくなったときにおすすめのトレーニングもあります。ユーカリ・グロブルス、クローブ、ラベンダー、レモンの精油を使った嗅覚トレーニングは、各精油を1日2回嗅ぐだけなので続けやすいですよ。
お金をかけずにできる「嗅覚トレーニング」のやり方〜アロマ(精油)を使ったトレーニング法も紹介
ハンドトリートメントでリラックス
精油を使ったハンドトリートメントは、アロマの香りと相手の手に触れて優しくトリートメント(マッサージ)するものです。
手は体の中でも多くの神経・ツボがあるので、トリートメントにより血行も良くなり、手のコリをほぐしたり、疲れやストレスを癒す効果が期待できます。
人の手の温もりと優しい施術にアロマの香りがプラスされれば、安心感とリラックスで、ついウトウトしてしまうくらい心地良い時間になりますよ。 アロマハンドトリートメント(マッサージ)のやり方を手順イラストとともにご紹介します。 精油(エッセンシャルオイル)を使ったアロマハンドトリートメント(マッサージ)は、相手の手を包みこみ優しく流すこと ...
アロマハンドトリートメント(マッサージ)のやり方【手順イラスト】
■朝用アロマオイルの作り方■
遮光瓶30mlにホホバオイル・クリア30mlと、ローズマリー・カンファー4滴+レモン2滴を入れてふたを閉め、上下によく振り混ぜます。
■夜用アロマオイルの作り方■
遮光瓶30mlにホホバオイル・クリア30mlと、ラベンダー4滴+オレンジ・スイート2滴を入れてふたを閉め、上下によく振り混ぜます。
作成したアロマオイルは冷暗所で保管し、2ヶ月以内に使い切りましょう。また、レモンには光毒性があるため、日中の使用後は注意しましょう。 Karisugiはじめに・・・ ここでご紹介するアロマオイルは、精油とキャリアオイル(精油を薄めるときに使うオイル)を混ぜて作ったものです。 アロマディフューザーなど芳香浴に使うアロマオイルではあ ...
アロマオイルの作り方【精油の希釈濃度・滴数、ブレンドレシピ付き】
フットバス(足浴)で血行促進&リフレッシュ
フットバスはリフレッシュしたいときやむくみのあるとき、お風呂に入れないときにおすすめです。
両足が入るくらいのタライ等にお湯を張って、精油を2〜3滴入れます。よくかき混ぜたら両足をお湯につけ、15分くらい温まりましょう。
精油を原液のまま使うのが心配な方は、ホホバオイル5mlに精油5滴か、バスソルト大さじ2に精油5滴を混ぜて使ってください。 Karisugiこの記事では、アロマバスにおすすめの精油や、アロマバスソルト・バスオイルの作り方、アロマバスを行うときの注意点をご紹介します。アロマバスを1日の疲労回復やリフレッシュ&リラックスに役立 ...
手作りアロマバスで疲労回復!バスソルト・バスオイルの作り方
万能アロマスプレーでお部屋の気になるにおいや掃除にも
アロマスプレーは、使う精油によってマスクや除菌、リラックス、デオドラント、虫除けなど様々なシーンに役立ちます。
今回ご紹介したブレンドエッセンシャルオイルで作る場合は、
1. ガラススプレーボトル(遮光性)30mlに、無水エタノール5mlと精油6〜12滴を入れ左右にふり混ぜる
2. 精製水25mlを入れてふたを閉め、上下によく振り混ぜる
これでアロマスプレーの完成です。ルームスプレーやリネンスプレーとして使えます。作成したアロマスプレーは冷暗所に保管し、1ヶ月くらいを目安に使い切ってください。 アルコール濃度や精油濃度を変えるだけで、様々なシーンに使い回せるアロマスプレー。 今回は、基本的なアロマスプレーの作り方や使い方、目的別アロマスプレーの使用例をまとめてご紹介していきます。 マスク ...
アロマスプレーの作り方〜目的別アロマスプレー使用例まとめ
使うのは「アロマオイル」ではなく「精油(エッセンシャルオイル)」
精油(エッセンシャルオイル)は植物の草や花、果皮、樹脂などから抽出される100%天然のオイルです。
対してアロマオイルは精油の他にキャリアオイルやアルコールなどがブレンドされており、100%天然ではないので、今回ご紹介する認知症対策の芳香浴にはおすすめしません。
あらかじめブレンドされた精油(ブレンドエッセンシャルオイル)については、安すぎるものに注意。中には粗悪品もあるので、つられないように気をつけてください。
おすすめは、初心者ユーザーにも使いやすく、アロマテラピーに必要なものが揃えられる「生活の木」ですが、他にも信頼のおけるメーカーはありますので、自分が使いやすいところを選んでみてください。 メディカルアロマは、精油に含まれる特定の薬理成分を活用して、心身のちょっとした不調をやわらげたり、自然治癒力を高めることを目的に使われることが多いです。 もちろん、香りを楽しんだり(芳香浴)、リ ...
メディカルアロマにもおすすめの信頼できる精油メーカーは?
また、アロマペンダントも値段がピンキリですが、200〜300円などあまりに安すぎるものはすぐに壊れます。レビュー頼りになりますが、評価が高く使い勝手が良さそうなものを選んだほうが、あとで後悔したり損をすることもありません。
まとめ
朝と夜に、それぞれ作用の異なる精油を使った芳香浴を行うことで、認知症予防に効果が期待できます。また、メリハリのクセをつけ生活リズムを整えたいときにも役立ちます。
今後ますますセルフケアが重要な時代、自分の心身をいたわりつつ、年齢を重ねても健やかに穏やかに過ごしたいものですね。
精油(エッセンシャルオイル)は芳香浴のほかにも、キャリアオイルに混ぜて、ハンドトリートメントなどのリラクゼーションに役立てたり、手作りアロマスプレーでお部屋の消臭や掃除に使うこともできます。
ぜひ役立ててみてください。
今回ご紹介した精油
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この記事を書いた人
主にアロマテラピーやCBDを用いたセルフケアに関する記事を発信。医療系、アロマテラピー、CBDの資格保持。人間の大敵「ストレス」を緩和する方法やアイテムを紹介している。ほかにも美容・健康、資格に関することなどのんびり更新中。