寒い冬の時期になると甘いものが食べたくなるように、甘い香りが欲しくなることはありませんか。
食べて体へのエネルギーに変えられるわけじゃないのに、香りをかぐと幸せな気分になったり、包み込まれるような温かさを感じたりします。
人は、自分にとって必要な栄養を自然と欲するようにできています。
それが、「寒いときに甘いものや香りが欲しくなる」のとどういう関係があるのでしょうか。
どうして寒いと甘いものや香りが欲しくなるの?
バニラアイスやチョコレート、コーラなど、甘くて美味しい食べ物や飲み物の中には、脂質と炭水化物(糖分)が多く含まれています。
寒いと人間の体もそれに適応しないといけないので、体を温めようとします。
この、温めようとするときに必要な栄養素が、脂質と炭水化物(糖分)なんです。
「寒いと甘いものが欲しくなる」のは、食べ物だけに限りません。
香りもスッキリサッパリ系より、こっくり甘め系のものを求めます。
脳科学の専門家、生塩(おしお)研一さんによると、
「甘いものを食べるとその瞬間に気分が良くなりますよね。そのメカニズムはこうです。
まず、舌の味蕾が甘み成分を感知して、その情報が神経を通って脳に送られ、脳の一次味覚野が甘いと感じ、眼窩前頭皮質が美味しい感覚を引き起こします。すると『β-エンドルフィン』という多幸感をもたらすモルヒネに似た脳内物質が分泌されて気分がよくなります。冬の落ち込みやすい気分を上げるために、β-エンドルフィンを出そうとして、甘いものを食べたくなるのかもしれません」
出典・引用:冬に甘いものが食べたくなるのはどうして?脳科学の専門家に聞いてみた
つまり、「甘いものを食べると体を温めるためにエネルギーを使い、体温を下げないように維持する」、「甘いものを食べた直後に脳に働きかけ、気分を上げてくれる」ということでしょうか。
甘いものを食べたり飲んだりするのは、どちらかといえば夏より冬のほうが多いですよね。
冬にはクリスマスケーキや、バレンタイン、こたつでアイスなど、甘いものをとる機会が多く、食べたときの満足感や幸せな気分が記憶に残ります。
自分の好きな甘い香りをかいだときの幸福感は、こうした記憶との結びつきも関係しているのかもしれません。
パブロフの犬ではありませんが、柑橘系の香りをかぐと子供時代の元気いっぱいだった頃を思い出したり、白檀の香りをかいだときはお寺の厳かで落ち着いた感じを思い出したりします。
こうしてみると、甘いものに限らず、「香りと記憶」は深い関係があるんですね。
寒さでなんとなく心もとなくなったときは、甘い食べ物だけじゃなく、バニラやチョコレートのような甘い香りを使って幸せ気分を感じてみるのもいいかもしれません。