アロマパッチとは、摂食・嚥下能力の改善に効果がある黒胡椒の香りを長時間感じられるようにと商品化された、シート状の "貼るアロマ" です。全国の病院や福祉施設などで使われています。
衣類の胸元や内側に貼るだけで良く、24時間香りが持つので何度も貼り替える必要がありません。介護をする側、される側にとって負担にならないのも嬉しいポイントです。
今回は、アロマパッチの効果や使い方、新しく発売された「アロマパッチ+(プラス)」についてご紹介します。
◇ 黒胡椒の香り「アロマパッチ」が摂食・嚥下能力の改善に効果的
◇ アロマパッチ、アロマパッチ+(プラス)の使い方、注意点
◇ ブラックペッパー精油で芳香浴も◯
◇ まとめ
黒胡椒の香り「アロマパッチ」が摂食・嚥下能力の改善に効果的
歳をとるにつれて脳の機能の衰えとともに、嚥下機能も衰えてきます。
嚥下とは「食べ物を飲み込むこと」ですが、これが衰えることで食事の際むせやすくなったり、なんなら自分の唾液でもむせてしまうこともあります。誤嚥性肺炎は嚥下機能が衰えることも原因のひとつです。
アロマパッチは、高齢者の誤嚥のメカニズムを解明し、安全に経口摂食するための方法確立に努めてきた東北大学病院老年科・海老原孝枝医師らの研究をもとに商品化されました。
「DGDS(ドラッグ・ガス・デリバリー・システム)」という独自技術によって、衣服の胸元に貼るだけで穏やかな黒胡椒の香り成分を24時間行き渡らせることができ、摂食・嚥下能力の改善に効果があります。
実際、毎食前に黒胡椒精油(ブラックペッパー)の香りを嗅ぐことで、嚥下反射や嚥下運動が改善するという研究結果が得られています。 認知症の中でも特に多いアルツハイマー型認知症に、アロマテラピーが有用であることをご存知でしょうか。アルツハイマー型認知症は、初期症状として物忘れより前ににおいが分かりにくくなるという特徴があります ... 続きを見る
(参照:コショウが嚥下反射を改善‐誤嚥予防に有用)
1日1枚の使用でいいので、誤嚥の多い高齢者の食事サポートとして、介護の場にも取り入れやすいのではないでしょうか。
アロマで認知機能改善?高齢者におすすめのアロマテラピーの使い方
アロマパッチ、アロマパッチ+(プラス)の使い方、注意点
アロマパッチは、黒胡椒の香りをパッチタイプシートにしたものです。
アロマパッチプラスは、黒コショウ精油とショウガ精油をブレンドしたアロマパッチシリーズの新製品です。使い方や注意点はアロマパッチと同じなので、あわせてご紹介していきます。
使い方
1. 粘着テープをはがす。
2. 衣服(胸元あたり)の内側に張り付け、肌に触れるようにする。
就寝中は枕元に貼って使っても◎。
注意点
※ 粘着テープを直接肌に貼り付けない。
※ 使用後は衣服からはがす。
※ 1日1枚を目安に取り替える。
※ 冷暗所に保管する。
※ ウール・シルクなどデリケートな素材の衣服には使用しない。
※ 水により膨張するので、衣服といっしょに洗濯しない。
その他
商品名 | アロマパッチ | アロマパッチ+(プラス) |
香り | 黒コショウのスパイシーで爽やかな香り | 黒コショウとショウガの香り |
サイズ | 1枚60×40mm | 1枚60×40mm |
販売 | 東香産業 | JAPANICARE |
原材料 | 黒コショウ精油、 ポリビニルアルコール、 活性炭、熱可塑性樹脂、 メントール、不織布(綿100%)、 両面テープ | 黒コショウ精油、ショウガ精油、 ポリビニルアルコール、活性炭、 熱可塑性樹脂、メントール、 不織布(綿100%)、両面テープ |
価格 | 30枚入り3,800円(税込) | 30枚入り3,850円(税込) |
ブラックペッパー精油で芳香浴も◯
毎食前に自分で香りを嗅げる方は、ブラックペッパーの精油で香りを試してみてはいかがでしょう。
使い方は簡単で、ブラックペッパーの精油をティッシュに1滴たらしたものを、食事前に嗅ぐだけです。ゆっくり香りを吸い込むように嗅いでみてください。
また、アロマシール(無香料タイプ)なら、アロマパッチと同じように衣服に貼って使えます。使い方は、ブラックペッパーの精油を1〜2滴ほどシールにたらし、衣服の胸元や内側(肌に触れない位置)に貼ります。香りが弱くなったら貼り替えるか、1滴ずつシールに追加でたらしてください。
まとめ
嚥下機能(飲み込む力)が低くなると、スムーズに食べ物が飲み込めずむせたり、喉に詰まらせたり、誤嚥の原因にもなります。
毎食前に香りを嗅ぐ・嗅がせることが難しい方には、アロマパッチを取り入れてみてはいかがでしょう。
嚥下機能が低くなっている方に、継続して黒胡椒(ブラックペッパー)の香りを嗅いでもらうことで、嚥下機能の回復が期待できます。
誤嚥予防や介護に、貼るだけのアロマパッチや精油などのお役立ちグッズをぜひ活用してみてください。